今朝の日本経済新聞「日銀マネー中小に届かず」という記事があった。日銀が供給したマネーが実態経済に浸透しにくくなっている。銀行の融資を通じてどれだけ経済に出回ったかを示す「信用乗数」は今年2月に2007年4月以来の低水準になったと伝えている。信用乗数とは金融機関が経済活動に必要なお金を貸し出す能力を示す指標で、金融機関の貸し出し能力が高まると信用乗数は上昇し、能力が落ちると乗数は低下するということだ。信用乗数は2007年6月から2009年1月までは7.1~7.3倍だったが、今年の2月は6.9倍に急低下し、約2年ぶりに7倍を割り込んだ。つまり金融機関の貸し出し能力は低下している。
そしてもう一つの記事は「メカバンク3行最終赤字」である。この記事の詳細は省くが、信用乗数が低下していることは金融期間の貸し出し能力が低下していることだ。メカバンク3行が最終赤字で有ることを考え合わせると、日銀は資金供給を急拡大させたといっているが、我々中小企業の資金繰りは改善していないし、今後の業績悪化を受けて貸し出しがさらに伸び悩み、貸し渋りが増加していく懸念があると思う。
一方、日本政策金融公庫は前年同期に比べて貸し出しが3割増えたと伝えている。業績が悪化している企業向けに審査基準を緩和した貸付が大きく伸びた為だと云う。民間銀行が融資を渋る一方で、政府系金融機関は経営環境の激変で対応出来る唯一の存在になるのではないか。私は民間で出来るものは民間に、官から民へは基本的な考え方であると思う。しかし、お金が国境を軽々と乗り越えて動いてしまうグローバル経済では、今回のアメリカ発の金融危機のようなケースでは民間金融機関では乗り越えられないと思う。危機対応の機能を持った政府系金融機関は必要不可欠であると思う。
我々中小企業の経営者は、常日頃から金融機関と密度の濃いコミュニケーションを図らなければならないと思う。100年に一度といわれる不況に対して支援を受けるためにも、その時になって頼み込むなど進められない。資金繰りは財務・経理部長に任せてチェックすればよく、社長は企業のビジョンを語れば良いという人もいますが、今回のような厳しい時には、他人任せにせず担当者と一緒になって行うことが肝要である。これが私の考えです。