『常陽地域研究センター』取材原稿

 4月17日に常陽地域研究センターによる取材がありました。6月号に掲載予定ですので、その原稿を掲載させて頂きます。常陽地域研究センターとは通称「常陽アーク」と云い、常陽銀行のシンクタンクで産・学・官から10名程の運営委員を選任し、テーマに対して意見を交換します。そして常陽アークの研究員がその内容を調査研究し、毎月冊子として発行し、常陽銀行の取引先に配布しています。運営委員の任期は年で、私は10年前から委嘱され、今日まで続けています。 

製品割合は建設機械にしようされる油圧機器・油圧部品で約9割                            当社は、創業当時は切削工具の研削加工専門で行っていましたが、油圧機器メーカーとの取引が始まり、油圧機器部品の研削加工の比重が次第に増えてきました。業務拡大のため茨城工場を設立し、研削加工の前加工である機械加工(旋盤、フライスなど)を取り入れ、部品の一貫加工を手がけるようになり、規模も次第に大きくなっていきました。その後は機械加工・熱処理・研削加工の一貫加工部品で業務を拡大し、近年では自社で製作された部品を使用し、組立・性能検査・塗装を行うOEM製品(ピストンポンプ・バルブ)を開発してきました。当社の製品割合は、建設機械に使用される油圧機器で約9割になります。油圧機器は、建設機械・農業機械・射出成形機・工作機械など幅広い分野に使用される補機部品です。特に油圧ショベルのスプール(コントロールバルブに使用される部品)のシェアは国内で約6割、世界で約4割となっています。バブル崩壊前は大手企業との取引では、お客様と競合している企業との取引は敵対的行為であるかのごとく思われ易いので、注意深くお客様を選んでいました。しかし、バブル崩壊後の大不況で系列関係や下請け関係が希薄になってきたので、既存のお客様の競合企業との取引を積極的に進め、不況を乗り越えていきました。結果としてお客様の数も増えていきました。

19号ブログ写真.jpgグループ会社について                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                       特殊工程である熱処理加工は外注で行なっていますが、納期の混乱要因になっていましたので、 1997年に熱処理工場を作り熱処理を内製化しました。その後、熱処理の技術向上と収益力を上げるため、協立製作所以外の企業との取引を行うことにしたので、分社独立を行い協立熱処理工業㈱を設立しました。多くの企業の熱処理認定工場となり、取引の幅が広がりました。                                 また、中国では1991年に取引先に先駆けて中国進出を果たし、上海協立機械部件有限公司を設立しました。現地の日系油圧機器メーカーとは人民元、アメリカの油圧機器メーカーとはドル、フランスの流体機器メーカーとはユーロ、そして日本の協立製作所とはドルで取引をしています。

世界同時不況の影響は大きかった                                                            当社は、直接輸出はないのですが、お客様の売上高に占める輸出割合が7割を超えていますので、今般の世界同時不況の影響を直接うけてしまいました。02年以降、建機メーカーは中国の需要をキャッチアップし、景気は上昇に向いました。その後世界の新興国の需要を取り込んだ建機メーカーは生産力の増強を図っていきました。当社はお客様の計画に基づき、毎年積極的に設備投資を実施してきました。しかし、毎年設備投資を行うことは経営のリスクが高まることを意味します。設備投資を行い企業規模が拡大するにつれ、人材教育が間に合わず、ムリやムダが目につくようになりました。変化のスピードが速く人が変化についていけないのです。しかし、このような不安定要因を持ちながらもお客様の要求を満足させるべく活動をしてきました。設備投資や人員を増やした結果、07年度の売上高は03年度比3.5倍に人員は3倍に拡大していきました。08年度の売上高は20%増の 60億円を計画していました。急成長をしている当社にとって計画通りに売上を達成できない窮地に追い込まれるという認識をいつも持っていました。                                      そんな中、08年8月に当社の子会社である上海協立機械部件有限公司の現地での受注が半分になったと報告を受けました。現地のお客様は日系の油圧機器メーカーで、日系の建機メーカーに油圧機器を供給しています。9月の受注も半分と報告を受け、何か異変が起きているのかと思いました。そして16日にリーマン・ブラザーズが破綻し、いわゆるリーマンショック後アメリカ発の金融危機が表面化しました。日本でも減産計画が発表され、生産調整に入ったことで、当社の月商は半分になりました。このような事態になると当社は窮地に追い込まれます。被害を最小限に止めるために10月初旬に幹部を集め、現状の状況説明を行い、かねてから準備していた対策の説明を行い、理解と協力を得られたので、計画に基づき即時に実施して行きました。                             現在でも在庫調整が続いていますので、月・金曜日を一時帰休日にして火曜日から木曜日の3日働いて金曜日から月曜日の4日を休む、「3勤4休」体制を続けています。苦しい経営を強いられていますが、中国の内需拡大政策により一部に明るい兆しが出てきています。しかし、中国だけでは世界の経済を牽引することは難しく、アメリカ経済が上向かないと中国も息切れしてしまいます。6月には在庫調整が落ち着くと予想していますが、受注の回復は下期以降になるのではないかと思っています。非建機の油圧機器を受注するため営業活動をしてきましたが、少しずつ引き合いが来るようになりました。

19号ブログ②.jpg合い言葉は、「中小から中堅へ」                                                                                                                                                                                                 当社では「中小企業から中堅企業へ」を合い言葉に、年間100億円の売上高を目指しています。会社が永続的に発展できる企業の仕組み作りが目的で必ずしも100億円が目的ではありませんが、「年間売上高100億円」が達成できれば、企業の仕組み作りも達成出来ると考えております。今後も試作から量産までのお手伝いを続けて、お客様満足度を高めていきたいと考えています。

リスク管理を徹底し、この不況下においても慣れない会社づくりを                                常に先を予測することが不況の波を乗り越えるためには必要なことであるということです。リスクを予知し、もし万が一のことが起こった時のために備えをしておく。そして実際に不況が来た時には迅速に対応策が実行出来るように、体制を整備しておかなければならないと思います。その体制とは  100億円企業を実現するための「仕組み」です。                                                               自分は2代目。「絶対に会社を潰さない」という気持ちを持って、「中小企業から中堅企業へ」体質改善を行い、全員のベクトルを合わせて実行していくことが、会社にとって大事なことだと考えています。 

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