今朝のニュースでGMが債権者との交渉が不調に終わり、連邦破産法11条の申請に向けて動いていると報道がありました。4月28日、日本経済新聞の【大機小機】というコラムに日米自動車メーカーの経営者の意識の違いを述べていた。その内容は私が常々考えていることと同じなので紹介したい。
【米ビックスリーはなぜ凋落したのか。思いをはせると、日米自動車メーカーの経営者との意識の違いが浮かび上がってくる。過去に、何人もの世界の自動車メーカーのトップと会う機会に恵まれた。米企業の経営者と話しをしていて違和感を覚えたのは、車を「どれくらい売るか」ほどの執念を「どうつくるか」には感じられないことだった。
売上や利益を高める計画はどんどん口をついて出てくるのだが、生産現場の泥臭い話や開発秘話などはほとんどない。車という商品を使っていかにもうけるかで頭がいっぱいなのか。現場感覚が鈍く、この人は何の会社の経営者なのかと、首をかしげたくなるのもしばしばだった。】と述べている。私が米国の建機メーカーの中国工場を訪問した時に感じたことと同じものだった。続けて日本の経営者の考え方を端的に述べている。
【日本はどうか。トヨタ自動車名誉会長の豊田章一郎氏は社長・会長時代を通じ、新車開発の責任者に「エンジンの回る音に耳を澄まし、微妙な不具合を発見しろ」と説いた。先代の英次氏は経営の一線を退いた後も、トヨタが新車を出すたびに自らハンドルを握り、感想を現場に伝えた。
スズキ社長の鈴木修氏は「役員もみな毎日工場の空気を吸い、自分たちが何者なのか考える。だから本社を工場から離さない。」と言う。ホンダ社長の福井威夫氏は「温暖化に思い責任の企業である以上、低燃費は規制があるかどうかでなく使命」と話す。
ゼネラル・モーターズ(GM)をはじめビックスリーには年金・医療費の支払いや高賃金・労組との複雑な関係など様々な問題がある。だが環境車の開発や効率生産、原価低減、株式時価総額で日独の有力メーカーに遅れを取ったのは、経営者が現場を見ずに利を追った側面が大きい。】日本の製造業では現場主義は常識だが、日本以外の国では違っている。まさに日本の常識は世界の非常識である。
【GMのトップは三月に辞任したリチャード・ワゴナー氏まで四人中の三人が財務部門の出身。これに対して例えばホンダは六月末に新社長に就く伊東孝紳氏を含め、歴代社長の全員が研究開発部門である本田技術研究所のトップ経営者だ。自動車メーカーの盛衰を決める環境技術で開いた差は、決して偶然ではない。
米政府に支援を要請したGMとクライスラーの再建策づくりが大詰めを迎えている。手法が公的資金注入であろうが法的整理であろうが、二社の再生には現場に精通したトップの起用が不可欠だ。海外企業からの役員受け入れも予想され、それはそのまま世界自動車再編につながる可能性が高い。(三角)】
と結んでいる。今後のGMの動向を注意深く見ていきたい。
犬山市 4月7日