(2)バブル崩壊以後(1990年代以後)、大きな技術変化
上記のように当社は数次の技術変化を経ているがバブル崩壊以後における大きな技術変化はAssy(組み立て)品への進出である。組み立て工程への進出により油圧機器における技術範囲が拡大され、経営基盤もより安定したものになった。技術変化の変遷を見ても分かるように組み立て工程への進出は経営を安定させようとする中での取り組みなので当社が手がけてきた従来技術、従来製品とは連続性を持っており、その意味においてスプールの一貫生産というコア技術とは関係は深い。ただし、組み立てということで工程は複雑になり部品の集積度も高まっているため、新たに導入された技術の割合は高くなっている。
Assy品は大きく分けてバルブAssyとポンプAssyの2種類ある。バルブAssyは既に述べたようにスプールの一貫生産はできるようになったものの競合の出現や値引きの可能性など利益としては安定したものではないので、自社製の部品以外の部品とも組み合わせ性能試験まで行うAssy品に進出した経緯がある。ポンプAssyはバルブAssyとは異なり客先から持ちかけがあり、それに対応して取り組むようになった技術である。ポンプAssyは油圧システムの心臓部にあたる非常に重要度の高い部品でバルブAssyよりも部品の集積度は高い。この技術を確立するのに5年の期間を要し、本格的に稼働したのは2002年である。当初は赤字だったが現在では当社の売上のおよそ30%を占めるようになっている。また、バルブAssyは当社の売上の20%を占めている。このアッセンブリ化の対応の過程の中で、熱処理や試験や塗装の工程の技術範囲も拡大した。
『TPM改善活動発表会 広瀬工場長講評』