思い出のレポート(5)

(5)国際化への対応

当社は中国の上海に工場を持っている。形態としては生産拠点の海外移転である。バブル期の絶頂期に多くの顧客から多くの仕事を依頼され、工場の能力が足りなくなった時に工場の増設がさまざまな行政の壁に当たってうまく進まなかったことが原因である。国内の他の地方に工場を新設すれば後から進出してきた大企業に従業員が引き抜かれる事例や自身の目で見た東南アジア諸国の状況から判断して中国しかない、という消去法的な判断と昔当社に勤めていた優秀な中国人が上海にいる、という事情から中国の上海に工場を設立することとなった。60号ブログ写真.jpgのサムネール画像のサムネール画像

(6)知的財産の活用               

当社は以前より特許の出願はしておらず、また 

組織的な取り組みも行っていない。当社は技術は

生産技術の開発やノウハウの蓄積に努めてきたの

で独自性のある技術を多数保有している。しかし

ながら、技術を模倣されても模倣を立証しにくい

ことがあること、また、当社の対象とする市場は

ニッチでそれほど大きなものではないので模倣品

が出現すると損失は大きいこと、などの事情から

ノウハウとして秘匿することにした。  

                                  コントロールバルブ用スプール                           

(7)まとめ

当社の技術経営の特徴は二つある。一つは同じ業界内で一貫して技術の範囲を広げてきたことである。同じ業界の中に存在し続けつつ経営を安定させるという大きな目標のもと、一貫して技術の範囲を広げ、複合化を図り付加価値を高め利益を安定させてきたのである。そのための手段として生産技術を自社で開発し独自のノウハウを積み上げ、そのノウハウをフルに活かせるよう設計能力まで身に付けようとしていのである。

もう一つは社長自身が非常の勉強熱心なことである。必要なこと、良かれと思われるものについて熱心に勉強を行い、しかもそれを鵜呑みにするのではなく、それら解釈し、それをもとに自分の論理を組み立ててきているのである。解釈とそれに基づく自分の論理があるため明快で合理的な方向付けが行われている

60号ブログ写真-2.jpg

                         『マルセイユの凱旋門』

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