以下、記事を書いた谷口正次氏が解説をしているこの映画に潜む、気高い「野蛮人」に憧れる野蛮な「文明人」のアメリカの苦悩を紹介したい。
この映画は、アメリカでも大変な反響であったようだが、保守派の人たちには我慢ならなかったらしい。米海兵隊を侮辱する反米映画だというわけだ。
また、日本の観客に多かった感想として、「ストーリーが単純すぎて途中で眠くなった」という。これらの反応の単純さにこそ、筆者は驚く。と嘆いている。
今現実に地球上の自然生態系豊かでかつ資源豊富な発展途上国で、先進国と新興国の鉱山会社が、膨大になったメタル資源需要を満たすために大規模資源開発を行っており、それに伴ってナヴィと同じ運命に翻弄されている先住民がいかに多いことか。
監督のキャメロンは、そのことを知っているからこそ、映画は地球上で行われていることを宇宙版にしただけなのである。ダンス・ウイズ・ウルブズ(ケビン・コスナー主演)は、南北戦争時代という歴史上のことゆえ保守派も何も言わないわけだが、アバターは、宇宙版にしてもあまりに刺激的だから、恥部を突かれた思いで反発しているのであろう。
しかし、映画と同じようなことをやっているのはアメリカだけではないのだ。カナダ、イギリス、オーストラリア、ロシア、スイス、中国、ブラジル、インドといった国々の鉱山会社も多かれ少なかれ同様のことに手を染めているのである。
それを裏付けることとして、資源開発に伴う問題発生を防止するために、次のようないくつかの国際的な動きがある。