今年も15名の新入社員が入社しました。私は次のように挨拶しました。
「皆さん入社おめでとうございます。
私はただいま紹介のありました社長の高橋です。皆さんの入社を、全社員を代表して心からお祝いいたします。
皆さんは当社に入社することによって、社会に出る第一歩を踏み出しました。運命というのは、出合い、すなわち「縁」によってきまります。縁が織りなす結果として運命が決まります。こうして皆さんが入社することによって、当社と皆さんの縁が始まったわけですから、この縁が皆さんにとって良い出会いであることを願っています。
今、世界を取り巻く政治・経済の情勢は、先進国だけでは問題解決ができず、新興国を取り込んだ二十カ国で世界の安定を図ろうとしています。
我社は22年前に発生し、日本経済に大きな打撃を与えた「バブル経済の崩壊」を 乗り越え、「ピンチの後にチャンスあり」の格言通り、第二の創業といわれる躍進を 果たしました。しかし15年前にはバブル経済崩壊の後遺症である銀行の不良債権 問題による、金融危機で大不況に陥り多くの企業が倒産し、長く苦しい不況が続きましたが、2002年、中国市場の成長が始まったチャンスを捉え、他社に先駆けて設備投資を行い、我社は成長路線に乗ることが出来ました。
しかし2008年にアメリカで起きた「リーマンショック」で、世界中の経済が一時ストップし、日本も大きな被害を受け、大変な不景気になりました。我社も例外ではありませんでした。
2010年は中国の公共事業により、受注は急回復し、生産も順調に推移してきましたが、昨年、東日本大震災により我社も大きな被害を受けました。幸い人的被害は なく、建物の被害は軽微でしたが、300台を超える機械が横にずれてしまいました。精密な製品を作るための工作機械は精度の高い水平を維持しなければなりません。震災の翌日から事務所・工場の後片付けと工作機械の「水平出し」を行う作業が始まりました。我々だけでは復旧に多大な時間が掛かることが予想されましたが、お客様・お取引先・工作機械メーカから大勢の人たちが応援に駆けつけてくれ、10日で復旧することが出来ました。そして大きな困難を乗り越えて、2011年度は過去最高の売上高を達成することが出来ました。
我社は常にピンチを乗り越え、チャンスに変えて、成長してきました。今後もピンチをチャンスに変える精神で、進んでいく企業であり続けたいと思っています。
仕事は人・物・金で動いています。仕事をしていて、人・物・金のすべてが、揃っていることはありません。どれかが足りません。
つまり、仕事とは、「今ある条件を使って、知恵を出し、必要な条件をつくること」ともいえます。条件が不足しているから仕事があるのだ。「あれがないから、この仕事はできない」というより、不足している物をつくるのが仕事と積極的に考える。しかし、自分のまわりは不足している条件だらけということは多い。それでも、小さな第一歩を踏み出すことです。現在が出発点。道のりは遠いが、歩き始めればいつかは着きます。
皆さんは無限の可能性を持っています。しかし最初は仕事に慣れず、いろいろ苦労があるでしょう。まずは先輩達の中でどん欲に仕事を覚えていって欲しいと思います。
最後に、希望に満ちた今の気持ちをいつまでも忘れずにいてください。新鮮な心をもってしっかりと将来を見据えて、たゆみなく前進を続けてください。
今、ここにいる皆さんが、将来の協立製作所を築いてくれることを心より願い、本日の入社式の挨拶とさせていただきます。」