中山道六十九次旅日記(10)

7日目(4月15日)金曜日

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朝、4時に起床し、窓から外を見ると、昨夜からの雨が降り続いていた。天気予報を確認したところ、本日は一日中雨の予報だ。やむを得ず、奈良井宿までの歩きは断念した。計画では下諏訪駅前交差点の先で国道と分かれ、左へ進み、相楽総三率いる赤報隊の供養塔、魁塚(さきがけづか)を通り、塩尻峠を越え、塩尻宿に入る。  

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中山道と善光寺街道の追分がある洗馬宿、そば切り発祥の宿場町の本山宿は本山宿は現在のような細切りの蕎麦が生まれたところだ。木曽十一宿の最初の宿である贄川宿、そして間の宿平沢を通って奈良井宿まで、約40㎞の予定だった。朝食は730分。930分に鉄鉱泉本館を出た。皮肉なことに雨は止んでいた。10時現在の気温13℃だが、体感温度は11℃との予報だ。やはり肌寒いので、長袖のシャツにジャンパーを着て出発した。

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下諏訪駅まで歩いて凡そ15分、下諏訪駅1030(中央本線東日本松本行)発の電車に乗り、塩尻駅経由1054(中央本線東海中津川行)発、目的地の奈良井着1126分で行くことにした。塩尻駅を過ぎたころから、雨が止んで天気が良くなってきた。そこですぐに調べたところ、奈良井駅の一つ手前の木曽平沢駅から奈良井駅まで約2.2㎞なので、急遽下車して歩いて行くことにした。ワンマン電車なので下車する人は先頭車両に来るようにアナウンスがあった。

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先頭車両に移動し真ん中のドアの前に立った。駅に到着しドアの脇に開閉のボタンがあったので、開ボタンを押したが、開かない。何度か押しているうちに、運転手が来て、先頭車両の運転手に近い先頭ドアの開ボタンを押さないと開かないと言われた。運転手に運賃を聞いて「スイカ」で清算しようとしたら、現金しか扱わないと云われ、680円支払った。下諏訪駅では「スイカ」で入場したので、清算は「スイカ」を取り扱っている駅でと言われた。木曽平沢駅を降りて、歩きだしたら雨が降ってきた。奈良井川の川沿いを歩いたが、だんだん雨が強くなってきた。山間部の天気は変わりやすい。約30分で奈良井駅に到着し、濡れたシャツを駅の待合室で着替えた。       

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小雨になった頃を見計らい、昼食をとるため、近くの蕎麦屋「楽楽亭」に入り、天ざるそばを注文した。蕎麦の味が口の中に広がる。美味しい。雨が小降りになったら奈良井宿を散策しようとしたが、止む様子がない。店に長くいると悪いので、熱燗とお新香とおつまみを頼みチビチビやっていたが、まだ雨が降っている。熱燗をもう一本頼み、3時間近く居座ったが、お客は私一人。「民宿しまだ」は蕎麦屋から56分の所だ。3時過ぎに雨に濡れながら、宿に向った。

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江戸時代さながらの景観を持つ奈良井宿は、木曽路最大の難所といわれた鳥居峠を控えている。宿場時代を色濃く残した約1㎞にわたる家並みは、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。緩くカーブする街道沿いに折り重なるように軒が連なり、建物の60%は江戸末期から明治初期のものと云われている。有名な越後屋旅館は200年前から旅籠を営み現役である。越後屋の看板は裏表の文字が違う。京都から行くと見える看板は漢字の「越後屋」、江戸から行くと見える看板は平仮名の「ゑちごや」となっている。京の人は江戸の人より学があるから漢字、江戸の人はかな文字とのこと。

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「民宿しまだ」に入り、濡れた下着、靴下の洗濯を行い、乾燥させたのちに、宿で傘を借り奈良井宿の街並みを一時間ほど散策した。夕方、碓氷峠を一緒に越えた大橋さんが奈良井駅に17時45分に到着する予定だ。到着15分程前に奈良井駅に大橋さんを出迎えた。予定通り大橋さんが電車から笑顔で降りてきた。ところが話をしてみると宿泊する民宿が違っていた。大橋さんは「いかりや町田」だ。私が大橋さんに最初に送った日程表に、民宿「しまだ」と併記して「いかりや町田」の民宿名を載せていた。最終的に「いかりや町田」を削除して「しまだ」に決めたが、改訂版を送るのを忘れてしまった。    

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それぞれの民宿で食事を済ませ、私が「いかりや町田」に出向き、ビールを飲みながら、碓氷峠の難所の話に花を咲かせた。明日は鳥居峠を越えて、藪原宿を通り木曽川沿いに宮ノ越宿、そして福島宿まで20㎞を一緒に行き、大橋さんは福島宿で宿泊ので、ここで別れて、私は約20㎞先の須原宿まで行くことを確認して、早々に民宿に戻った。翌日の天気予報は曇り。降雨率は限りなく低い。安心して寝床に着いた。       


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