2007年9月13日、国際連合総会で「先住民族の権利宣言」が圧倒的多数で採択された。その時、4カ国だけ反対投票した。アメリカ、カナダ、オーストラリアそしてニュージーランドだ。いずれもアングロサクソンで、ニュージーランド以外は世界で資源開発に励み、寡占支配を進めている国であるとともに、4カ国とも先住民族が住んでいる。
世界に先住民族と言われる人たちは約3億7000万人いる。その人たちの資源の所有権まで認める宣言には到底賛成できなかったということは容易に想像できる。宣言に法的拘束力はない。
2002年のヨハネスブルグサミットで、イギリスのトニー・ブレア前首相は、発展途上国における資源開発に伴って起きる腐敗(賄賂による資源開発権益の取得と不平等契約、その結果生じる人権侵害・環境破壊)を防止する国際的枠組みを提唱した。これは、資源産業透明性イニシアチブ(EITI=Extracting Industries Transparency Initiative)として今、ようやく活動が少しずつ広がり始めている。
1999年2月、ダボス会議で、コヒー・アナン前国連事務総長の提唱で始まった、グローバル・コンパクト(Global Compact)というものがある。これは、世界の大企業の最高経営責任者(CEO)と事務総長とコンパクト(契約)を結ぼうというわけだ。契約といっても法的拘束力のない約束、誓いあるいは協定みたいなものだ。その内容は、人権、労働、環境そして腐敗に関する10項目の原則を契約企業が守りますというものだ。まさに多国籍鉱山会社にフォーカスしたように思える。
現実に地球上で行われている行為を、パンドラという星に舞台を設定して映像にしたキャメロン監督の意図は明解だ。構想に14年、制作に4年かけたという。
さて、10月に生物多様性条約第10回締結国会議(COP10)が
彼らの役割は、人類に役立つ生物資源の調査だ。薬効成分を持った植物が見つかれば新薬の開発で膨大な利益が得られるわけだ。聖なる山を破壊し、ジャングルを焼き尽くして地下資源を掘ろうとする傭兵部隊とは当然ながら対立する。
以下、記事を書いた谷口正次氏が解説をしているこの映画に潜む、気高い「野蛮人」に憧れる野蛮な「文明人」のアメリカの苦悩を紹介したい。
この映画は、アメリカでも大変な反響であったようだが、保守派の人たちには我慢ならなかったらしい。米海兵隊を侮辱する反米映画だというわけだ。
また、日本の観客に多かった感想として、「ストーリーが単純すぎて途中で眠くなった」という。これらの反応の単純さにこそ、筆者は驚く。と嘆いている。
今現実に地球上の自然生態系豊かでかつ資源豊富な発展途上国で、先進国と新興国の鉱山会社が、膨大になったメタル資源需要を満たすために大規模資源開発を行っており、それに伴ってナヴィと同じ運命に翻弄されている先住民がいかに多いことか。
監督のキャメロンは、そのことを知っているからこそ、映画は地球上で行われていることを宇宙版にしただけなのである。ダンス・ウイズ・ウルブズ(ケビン・コスナー主演)は、南北戦争時代という歴史上のことゆえ保守派も何も言わないわけだが、アバターは、宇宙版にしてもあまりに刺激的だから、恥部を突かれた思いで反発しているのであろう。
しかし、映画と同じようなことをやっているのはアメリカだけではないのだ。カナダ、イギリス、オーストラリア、ロシア、スイス、中国、ブラジル、インドといった国々の鉱山会社も多かれ少なかれ同様のことに手を染めているのである。
それを裏付けることとして、資源開発に伴う問題発生を防止するために、次のようないくつかの国際的な動きがある。
昨年12月末話題の映画「アバター」を2Dで見たが、3Dで見たいと思い先月3D版で再度見にいった。圧倒的な映像に引きもまれながらも、昔見たハリウッド映画の西部開拓時代の白人とインディアンの戦いを思い出した。
つまり自然が豊かで、資源豊富で未開拓な発展途上国で、先進国が需要の大きくなった資源を獲得するために大規模な開発を行い、これに反対する先住民との戦いを描いている。ストーリーは先が読める展開であるが、それよりもCG表現の圧倒的なすばらしさのため、3Dで見たいと思い映画館に足を運んだ。
アバターを見ていない人のために、あらすじを谷口正次氏の記事の一部を引用して紹介する。
時は22世紀、アメリカの資源開発公社RDAは、地球の熱帯雨林のスケールをさらに大きくしたような原生林に覆われた宇宙衛星パンドラに、超伝導物質のレアメタルの鉱床を発見する。そのレアメタルの価値は1キログラムで約20億円だ。しかし、その鉱床は、ナヴィとよばれる先住民が、ジャングルの中で狩猟採集の生活をしている地域の地下に眠っている。
先住民といっても、緑色をした人間の体型そっくりの身体にしっぽがある。身長は約3メートル、今の地球人から見れば未開人ということになるだろうが、野蛮ではない。そして野生ではあるが、知性もある。聖なる山に棲む母神エイワを崇拝するアニミズム信仰の"ヒト"たちである。聖なる山には魂ノ樹と呼ばれる想像を絶する巨木が生えている。
RDAは、鉱石採掘に先立って、ナヴィを移住させ、聖なる山を破壊し、魂ノ樹を切り倒さなければならない。RDAは地球上の場合と同じように、まず懐柔策に出る。学校を作り英語を教え、地球人の文明を植えつけようとする。しかし、ナヴィは決してなびかない。業を煮やしたRDAは元海兵隊大佐をリーダーとするPMCの部隊を送り込み、パンドラ制圧を目指す。
侵攻に先立ち、スパイとして元海兵隊員ジェイクを送り込む。ただし、地球人はパンドラでは大気を呼吸できないため、ナヴィと人間の遺伝子を組み合わせてナヴィと同じ肉体を持った、ジェイクの思い通りに行動する化身すなわちアバターを作り出した。
アバターは、レアメタルが埋蔵されているナヴィの一部族オマティカヤの村に、情報収集のために送り込まれたわけだが、部族長の娘であり戦士のネイティリと恋に落ちる。そして、いつしか、森の中であらゆる生物とともに共生・進化してきたナヴィの多神教の世界に魅せられてしまい、ナヴィとともに侵略者と闘う決心をする。
日本の工作機械生産額が世界首位から27年ぶりに陥落したと日本経済新聞がつたえていた。2009年の日本の生産額は2008年度比57%減の5200億円に落ち込んだのに対して、中国の工作機械生産額は9%増加したため9800億円に伸ばし、一気に日本の首位を奪ってしまった。
その差は2倍近くに開いており、首位の座を取り戻すのは容易ではなく、世界のものづくりを支えてきた日本の製造業が、大きな転機を迎えていると報じられた。
私は2年ごとに開催されている日本とヨーロッパの国際工作機械見本市は欠かさず、視察している。日本の見本市での中国企業の存在感は出展社数も少なく、出展機械も日本製より精度的に見劣りしているので、日本のユーザーは価格よりも高機能・多機能そして何より機械精度の方をより重視していることもあり脅威はさほど感じなかった。しかしヨーロッパでの見本市は10年前から年を増すごとに、出展社数も増えており、展示のフロアスペースも大きく取って存在感を増してきている。日本だけを見ていると分からないことである。
中国メーカーは日本よりもヨーロッパを足場にして、市場を開拓しているようだ。その魅力はなんといっても価格である。上海協立では荒・中仕上げは中国製を使用し、精度の高い仕上げ加工は日本製を使用している。中国では現地法人の日系工作機械メーカーは、ほとんどが日系の現地法人の製造会社に販売しており、中国国内の製造会社にはあまり販売されていないと云われている。中国の会社にとって、日本製の工作機械は価格が高いため、精度の高い機械だと分かっていても購買行動に至らないようだ。しかし確実に中国の存在感は日を追うごとに増していくだろう。
我々日本の製造業はどのようにして生き残っていくか。明確な答えはない。ダーウィンの進化論にあるように環境に適用し、変化できるものだけが生き残り、勝ち残っていくのではないか。グローバルな世界では誰も答えを教えてくれない。自分たちの頭で考えていくしかないと思う。
『ヨーロッパ国際工作機械見本市』
11月25日、茨城経営者協会県西地区工場見学会が12社25名の出席を得て開催された。昨年までは県外の先進企業を見学していたが、今年は県西地区の会員会社を見学することになり、環境をキーワードにした見学会を行うことに決まった。そこで既に事務局の生井さんがエコドライブの教育を受け、約30%の燃費改善が得られたとの報告が有ったので、「エコドライブの研修」が提案され茨城県西自動車学校での見学・研修が幹事会で了承された。
1800年の産業革命以前では温室効果ガスは280ppmであったのが、2000年には379ppmに増加し、現在も増加し続けている。一番CO2排出が多いのは産業部門約30%、一般家庭部門が約30%である。車が排出するCO2は日本全体の20%で、自家用自動車が排出する割合はその半分10%とのことです。このような背景のレクチャーを受け、一周1.3kmの教習所のコースで一人ひとり車に乗って実験した。
県西自動車学校の菅原常務が助手席に座り、後部には弊社の飯塚総務部長が座った。車は2000ccのノークラ車。最初にいつも通りに運転してくださいと云われ、加速・減速・一時停止・進路変更を行った。結果は走行時間191秒・燃料消費量 8.0km/L・CO2排出量373.8gとなった。
次にエコドライブの研修を受け、同じコースを走行したところ走行時間は195秒・燃料消費量12.0 km/L・CO2排出量249.2gであった。改善率50%と信じられない数字になった。普段意識しないで運転しているのと少しの知識を意識して運転するのではこんなにも燃費が違うのか驚いた。
エコドライブの要領は①普通の発進より少し緩やかに発進する(最初の5秒で時速20kmが目安) ②加減速の少ない運転で車間距離に余裕を持つ ③エンジンブレーキを使うと燃料の供給が停止されるので、停止位置が分かったら早めにアクセルから足を離すことを意識して運転する。飯塚部長は10.0 km/Lから研修後 14.0km/L。私とは改善後の燃費でも2.0km/Lの差があることが分かった。
私の年間走行距離約15,000kmに置き換えると燃費で78,125円の改善、CO2排出量1,437kg削減、CO2吸収に必要な木の本数302本から201本と101本の改善を果たすことになる。いつの間にか運転が荒くなって、加減速が多くなっていた。これからは意識して運転を変え、習慣になるまで続けよう。